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No.81 「合わせる」よりも「合う」を求めて

  そもそも吹奏楽は僕には興味のない世界だった。いや嫌いだったというべきだろう。少年時代、もともとクラシック音楽が好きで、入った高校の音楽部は管弦楽だった。自由な発想でクラシック音楽を楽しむ団体にいた僕には、地域の連合音楽会などに見るあのマスゲームのような団体競技が信じられなかった。
 そんな自分がめぐりめぐって高校の教員となり、このブラスバンド部のみんなと吹奏楽を楽しんでいる。妥協したのではなく、ほんとうに楽しいと思っている。
 そんな僕と高校生たちとのブラスバンド部はいますこぶる元気だ。まだまだ部員数も技術も楽器も充分ではないが、「めちゃくちゃ」楽しいのだ。僕たちはまだ歴史が浅い。伝統がない。失う名誉(?)もない。だから、思うとおりに活動でき、のびやかでいられるからだろう。彼らの発想や活躍でブラスバンド部もずいぶん成長した。以前は学校行事だけだった活動の場は、いまでは、ボランティアをはじめ外の世界にも拡大してきている。ミュージックエイト社に録音が投稿できるのも以前には考えられなかった活動だ(気恥ずかしいものもあるが…)。
 彼らとの時間は毎回が創造の時間だ。練習ごとに新しい発見がある。僕は自分の音楽を押しつけたくはない。逆に、彼らにしかない「棘」を最大限出してもらいたい。それをまとめるのが自分の役割だと思っている。だから僕たちの音には均質性がない。まるで古楽器のように裸の音だ。縦の線にも神経質にはなりたくない。僕たちが大事にしたいのは横の線だ。そして自分を「合わせる」ことではなくて、他人と「合う」ことの楽しさだ。乙に澄ました「良い子」の音楽にだけはしたくないのだ。だから、練習では僕も彼らも言いたい放題だ。でもそれが実に楽しい。
これが完成するにはとても時間がかかるだろう。でも時として奇跡が起こる。それが素晴らしいのだ。  顧問が専制君主になれば、もっとはやくまとまるのだろう。でもそれは自分らしくない。彼ららしくもない。僕たちの音楽じゃない。そう念じながら、彼らとの時間を楽しみ、ここだけにしかできない吹奏楽をめざしている。

東京・立志舎高等学校ブラスバンド部
水口 峰之
http://www.risshisha.ed.jp/club/brassband.html

団員数:男子8名 女子16名   ※団員数は掲載当時のものです。
部 訓:楽しく、でも真剣に

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