- シリーズ
- MUNS 輸入吹奏楽オリジナル作品（フルスコアのみ）
- 解説
- Southern Music
若者の人生を祝福するように3つの鐘が華麗に鳴り響くなか、小鳥たちがさえずり蝶が舞い踊る様を、フルート、クラリネット、サクソフォーンがへ長調で色彩豊かに歌いあげる。トランペット、ホルン、トロンボーンなど金管群は、Fで始まる6度の跳躍をメイン・テーマとして若者の前進・飛躍・ポジティヴな生きぎまを操り返し表現する。中間部は二短調のカンタービレ。フルートが、「風の歌」を奏で親しい人々を思い起こし、若者は望郷の念に涙する。こみあげる憩いは木管の全奏となって、アルペッジョで最高音のFにまで駆け昇る。フィナーレは8分の6。低音のFが遠くから響くなか、タムタムとスネアが呼応して心臓の鼓動が聞こえ始める。冒頭の6度の跳躍音をトランペットが立ち上げて、若者は新しい一日を始める。時には自然に憩いを求めても、やはり若者は人生を貪欲に、少々焦りながら短い青春時代を燃焼させてゆく。エンディングのフェルマータはF音だけのトゥッティ。最後まで純粋さを追求していく。音楽は次のように問いかける。「青春時代は美しく短い。われらいかに生きるべきか」-------作曲者デル・ボルゴ---1980年代中頃、吹奏楽にかかわっておられた方なら、エリオット・デル・ボルゴの名を覚えておられるだろう。CBSソニーや東芝EMIのコンクール自由曲集に、リード、バーンズ、マクベスらとともに毎年取り上げられた、米国20世紀の代表的作曲家の一人である。バッハ風の古典的な響きとラテン・パーカッションの見事な融合に、とりこになったファンも多いと思う。「シンフォニック･スケッチ」(1984)や「前奏曲、パッサカリアとフーガ」(1986)などは、吹奏楽の名曲として今も輝いている。デル・ボルゴ氏は1938年の生まれだが、まだまだお元気で、ニューヨーク州、といっても米国最北部でカナダとの国境にある小村に、知性あふれる優しい奥様と二人暮らし。2000年5月、筆者（尾上）は妻とともにこの著名な作曲家のご自宅を訪問し、1月以来Eメールの交換でお願いしてあった、委嘱作品「アツシ・ア・リメンブランス」の完成楽譜を手にした。12年前、たまたまシカゴの「ミッドウェスト・バンド・クリニック」でお会いして、ふたことみこと言葉を交わしただけなのに、26歳の若さで交通事故死した、筆者の次男を追悼する曲に全力で取リ組んでいただいたのである。2000年夏、筆者がディレクターをつとめる静岡県立沼津東高校は、１，２年生部員のみというハンデを克服し、この委嘱作品に全身全霊を打ち込んでコンクールに臨んだ。その結果、コンクール東海大会「Ｂ編成（30人以下）の部」に18年ぶりに推挙され、三浦徹先生から「個々の堅実なプレイが光る安定感のある演奏でした」との講評をいただき、なんと金賞に輝いたのである。30人の小編成でも十分効果的に演奏できる点で、これはお薦めの一曲である。
（尾上敏起） - 作曲者
- エリオット・デル・ボルゴ (Elliot del Borgo)
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吹奏楽・器楽・ジャズ・アンサンブルの楽譜販売、出版
現在取り扱い楽譜数
M8出版： 7126曲
輸入譜： 158730曲
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