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- シリーズ
- MUNS 輸入吹奏楽オリジナル作品(フルスコアのみ)
- 解説
- Southern Music
この曲のタイトルは、次のような詩編137番の歌詞からとられました。
「バビロンの河のそばで、彼らは跪き、泣いた。柳の木々の上に我々はハープをつるす」
西洋では恋人などごく親しい人が亡くなると柳の木に花輪をかかげる習慣があり、これはある1人の音楽家の死をいたむため、人々が音楽のシンボルであるハープを捧げるという意味なのです。その音楽家とは、1987年12月13日に心臓発作のため55才で亡くなったクロード・スミスです。彼は1932年、ミズーリ州に生まれた作曲家で、米空軍軍楽隊や海兵隊バンドのためにすぐれた曲を書いており、日本でもよく知られています。
マクベスは以前にも別な人のために「カデッシュ」という追悼の曲を書いていますが、この曲もそれに劣らない素晴らしい曲です。
曲は4/4拍子、アダージオで、木管高音とトランペットのF音のユニゾンでチャイムを伴って張りつめた感じではじめられます。2小節めから、全楽器が深い響きの和音でクレッシェンドしながら、加わります。6小節めから、クラリネットとフルートによる悲しげなテーマが長い旋律で開始され、時々テュッティのハーモニーが悲痛に鳴り響きます。このメロディはホルンにも引き継がれ、次第に低音の金管のメロディに移り、その頂点でトランペットも加わり、1回めのクライマックスをつくります。
次にテューバのオッシナートの上に、再びクラリネットが歌い、ホルンの長いフレーズの美しいメロディも響きます(ホルン奏者でもあったスミスをしのぶにはふさわしい)。そしてテンポを速め、全楽器のテュッティとなり、2回めのクライマックスを築き、打楽器(ティンパニー)の激しいソロのあと静まります。ここでもホルンのゆっくりとしたメロディがきかれます。そして3回めのクライマックスをつくり、またまたクラリネットやホルンのテーマに戻り、4回めのクライマックスとなり、深いハーモニーのなかに静かに消えていきます。
この曲は、テキサス州プラノのプラノ東高校バンドの委嘱により作曲され、同バンドとその指揮者、ラリー・タッカーとロビン・オウエンに捧げられました。
(秋山紀夫) - 作曲者
- ウィリアム・フランシス・マクベス (William Francis McBeth)