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- シリーズ
- MUC 輸入吹奏楽クラシック作品(スコア&パート)
- 解説
- C L Barnhouse Co.
この曲の原曲は1715年、ワイマールの宮廷楽団のコンサート・マスター時代に作曲した教会カンタータ「甘き死よ来たれ」です。この曲はアルト、テナーという組合せの声楽と、バッハとしては珍しく2本のBbクラリネットを用い、それにヴァイオリン、ヴィオラ、オルガン、通奏低音(チェンバロ)という編成で作曲され、フランクという人の詩を用いています。この編成は当時のワイマール宮廷楽団にクラリネットがとり入れられていたことを物語っています。バッハは、のちの1736年、彼が死ぬ14年前に、ゲオルグ・クリスティアン・シュメッリ(1675~1762)とともに954曲の宗教的歌曲集を出版しましたが、この中にもこの「甘き死よ来たれ」が入っています。この954曲のうちバッハの作品は69曲とされていましたが、現在の研究ではそのうちわずか3曲ぐらいがバッハの作品だろうといわれています。もちろんその3曲の中にこの曲も入っていて、この版のリードの編曲はこの歌曲集から自由に改編されたものです。歌曲集の原曲は4声のコラールで書かれ、2部形式の歌曲が2回繰り返されます。リードの編曲は感情をややおさえて、音の綾織りを楽しむような編曲になっています。この旋律の美しさは、器楽的でフーガなどの対位法的手法にすぐれていると思われがちなバッハが、声楽曲としてもすばらしい旋律の楽想を持ちあわせた作曲家であることを示しています。リードの編曲版は1976年4月12日、マイアミ大学シンフォニック・ウィンドアンサンブルの演奏で、F.フェネルの指揮で初演されました。エリック・ライゼンの吹奏楽編曲(カール・フィッシャー版)もありますが、この版は、より原曲に近い編曲で、後半は大変ドラマチックです。
(秋山紀夫) - 編曲者
- アルフレッド・リード (Alfred Reed)
- 作曲者
- ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (Johann Sebastian Bach)