訃報
2020年12月31日、弊社社員の山下国俊が胃がんのため亡くなりました。享年76才。
故人に対する生前のご厚情に感謝申し上げますとともに、謹んでご通知申し上げます。
さて、ここからは、私たちの思いをこめて、あえて“山下さん”と敬称をつけさせていただきます。
山下さんは、かねてより派手な事は好まず、表に出ることを嫌い、テレビや雑誌等の取材も極力お断りしておりました。ですから、このご報告についても、もしかしたら天国で怒っているかもしれません。
ですが、吹奏楽関係者の皆さま、なかでも、山下さんの編曲作品を演奏してくださった何十万人、何百万人の方々に心からの御礼をお伝えしたいと、ご遺族の了解をいただき、このような形をとらせていただきました。
山下さんは、創業時代から長年に渡り、編曲者としてミュージックエイトを支え続けてくださいました。弊社社員の多くも、山下さんの編曲作品に親しんできた吹奏楽経験者です。入社後、同じ釜の飯を食う仲間となってからは、精神的支柱として見守ってくれる大きな大きな存在でした。
山下さんを失った現実を、社員全員いまだに受け止めることができずにいます。
山下さんは、様々な楽器を演奏することができましたが、音楽以外にも多くの趣味をもった粋人でした。特にサッカー、自然、将棋をこよなく愛していました。出社時の昼休みには、誰かと将棋盤に向かうのが恒例でした。そんな光景も二度と見ることができません。
けれど、やはり私たちの記憶に一番深く刻まれているのは、五線紙にペンを走らせ、ピアノを弾き、ときに自分の編曲作品を口ずさむ、アレンジャーとしての姿です。
山下さんは、最後の最後まで編曲の手を止めませんでした。かなり病状が悪化していたに違いない12月に入ってからも、新刊を仕上げました。
山下さんが一番愛していたのは“音楽”であり、大切にしていたのは、一曲でも多くの楽譜を皆さまのお手元にお届けするということ。その気持ちを、社員全員が継承していきたいと思います。
ミュージックエイトが現在あるのは、山下さんが半世紀以上に及ぶ“音楽人生”を共に過ごしてくれたからであり、感謝の念に堪えません。今後新作をお届けすることはかないませんが、山下さんのこれまでの作品が、これからもずっと私たちを支え続けてくれることと信じています。
山下さん、本当にありがとうございました。どうぞ、安らかにお眠りください。
2021年1月13日
