No.33 「普通に」できる喜び

 「さあ、みんな、合わせますよ、3、4、〜♪」どこにでも見られる吹奏楽部の合奏の風景が奪われたのは10月23日の夕刻でした。私が突然襲ってきた大きな地震に遭遇したのは、毎週土曜日に活動している小出郷ジュニアブラスオーケストラの練習に行く途中のこと。突然の強い揺れに立ち止まり、相次ぐ余震の中、ようやく練習場所である小出郷文化会館に着きました。すでにジュニアブラスの子どもたちは練習場におり、みんな不安げな表情で、余震がおさまるのを待っていました。練習はもちろん中止。私は、ジュニアのメンバーが無事に帰るのを見届けてから、送電が止まった真っ暗な中を我が家に帰りました。その後、ジュニアの活動は中止、1週間後に控えた魚沼市の市町村合併記念イベントでの演奏ももちろん中止になりました。幸い文化会館の楽器庫にあった楽器は、あちらこちらに転がってはいましたが、頑丈なケースに守られて無事でした。
 私が勤務する小千谷高校も大きな被害を受けました。自宅から学校へ通じるすべての道が閉ざされ、一刻も早く、部員たちの様子や音楽室の被害状況を確認したかったのですが、それもできず、余震が相次ぐ我が家で、不安と苛立ちだけが募りました(本震後のあの数日間がいちばんつらかったです)。
 小千谷高校吹奏楽部の活動が再開できたのは11月18日。音楽室はひどい状況でしたが、楽器はジュニアブラス同様、ケースに守られてなんとか無事でした。久しぶりに楽器を手にする部員たちの表情は明るく、ほぼ1ヵ月ぶりに聴くブラスの響きに、思わず涙が出ました。ジュニアブラスの活動も12月4日に再開し、ともに12月に予定していた、それぞれの演奏会を開くことができました(一時はあきらめていました)。
 今、私たちの「日常」がようやく戻ってきました。音楽を、吹奏楽を「普通に」できる喜びを、私たちは噛み締めています。私は、今回体験したことや、この「想い」を忘れずに(決して忘れることはできませんが)、これからも、部員たちやジュニアのメンバーたちと一緒に、楽しく音楽を創っていきたいと思います。最後に、今回の震災に際し、いろいろな方々から励ましのお手紙や贈り物をいただきました。この場をお借りして、お礼を申しあげたいと思います。

新潟県立小千谷高等学校吹奏楽部
三浦 義弘

部員数:男子3名、女子51名   ※部員数は掲載当時のものです。
部のモットー:みんなで「響力!」



小出郷ジュニアブラスオーケストラ

部員数:男子9名、女子39名   ※部員数は掲載当時のものです。
部のモットー:もっと音楽が好きになる!!

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