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No.04 思いを“音”に……

 250人の演奏がたった2度や3度の練習で物理的に合わないのは仕方ないかもしれません。けれど、お客さまはなにがしかのお金を払ってきてくださっているのだから「一生懸命やりました」だけではすまない。限られた時間の中で何ができるか。集まった人の中には、僕の棒で吹いてみたいという人もいるけれど、日頃少ない人数で吹いているから大勢の中で吹いてみたかったという人もいる。この“大勢で作る”というのが吹奏楽の素晴らしいところです。
 小学生もいれば、大人もいる。集中力も違えば、奏法も違う。けれど、250人の吹きたいという“思い”を集めれば何かが生まれるかもしれない。それなら、それぞれが持っている“思い”を合わせようかと……。縦が合った、横が合ったということより、ひとりひとりの“思い”を妥協させないで、それぞれが持っているいいものを合わせることに専念しました。
 ひとりひとりを鋳型にいれて尖ったものを取ってしまうことは簡単です。汚い音は吹かせなければいいし、どうしても音が外れる人には休んでもらえばいい。そうすれば、もっとそつのない演奏はできたかもしれません。でも、それなら250人で演奏する意味も、僕が振る必要もない。
 結果としては、思った以上に、あついものができあがったと思います。僕が実際にしたことは、「どういう音楽をしたいか」ということを棒や顔やたまには口で伝えただけ。ふだんと同じです。指導のうえで大切にしているのは「自主性」。演奏も同じです。演奏者ひとりひとりが「自分の意志を持つ」ということを大切にしています。譜面という大きな決まりの中で、協調しながら、自分の思いを音に出す。それぞれの思いがうまくポンッと合ったときにいい演奏が生まれると思うんです。でも、これが口で言うほど簡単ではありません。「自主性を出しなさい、自分の音楽をしなさい」と言ってしまった瞬間から自主的ではなくなってしまいますから。
 結局、音楽を指導するということは、音楽を心から好きでいることしか方法はないのかもしれません。本当におもしろいなと思ったら、誰に強制されなくても努力もするでしょう。そのためにいろいろ仕掛けたこともあったんですが、これもアウト。今では、自分が愉しむしかないかなと思っています。本気でこっちが愉しんでたら、奏者も愉しくなるし、お客さまも愉しくなる。今日も、ポンッと合うところまではいかなかったと思うけれど、のびのびとやってくれたからよかった。ステージの上でも下でも「今日は参加してよかったな」と思ってもらえてたらいいんですが……。

NO.004は、3月30日に東京・パルテノン多摩大ホールで開催されたBrass Festa多摩2002に客演指揮で出演。250人のスペシャルバンドを指揮された丸谷先生にお話を伺いました。

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