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No.36 その夢に向かって

 実は、僕が最初に手にした楽器はフルートなんです。小学生の頃、雑誌の付録についていた横笛の音が出たことが嬉しくて、フルートの存在を知ってからは、教室に通うほど熱心に練習していました。浜松南陽中に入学して吹奏楽部に入り、当然フルートを選んだのですが、1ヵ月以上もマウスピースだけの練習でせっかく持っているフルートも吹けないし、まわりは女の子ばかりだし、次第に情熱が冷めていったんです。

 ちょうどその頃「これを聴いてみろ」と父が薦めてくれたのが、テナー・サックスのサム・テイラーのレコード。その艶やかな音にびっくりして、猛烈に興味が湧いてきました。折良く!?吹奏楽部のサックスに欠員が出たこともあり、これ幸いとサックスに変えてもらいました。が、他の友達がもうかなり上手になっていたのに追いつけないのが悔しくて、毎朝早く起きて近くの浜までジョギング、マウスピースをピーっと鳴らしてから学校に行く、それを日課としていました。音楽の授業で『アルルの女』を聴いてからは、透明感のある音に感動して、むさぼるようにクラシカル・サックスにのめりこんでいきました。テスト期間中の休憩時間も音楽室に通ってサックスを吹くという、まさにサックス漬けの毎日。なにしろ、サックスの音を多くの人に伝えたいと思いこんでいましたから。

 最初にサム・テイラーを聴かせてくれた親も、子どもには医者か弁護士か、そんな夢をもっていたのかもしれません(笑)、進学校の浜松北高に入ったらサックスを買ってくれるって約束してくれたんです。当然、頑張りました。約束どおり買ってもらったサックスを持って、すぐに吹奏楽部に入部しました。新入部員の自己紹介で「サックスの魅力を世の中に広めたい」と生意気にも言ってのけたのですが、1学年先輩にあたる伊藤康英さんに「あのときの堂々とした顔が忘れられないよ」と今もからかわれています。高校生活もサックス一色。当然、他の成績は下降の一途をたどり、医者も弁護士も遠くなり(笑)、結果的に芸大をめざすこととなり、現在に至るわけです。

 サックス、そして吹奏楽にのめりこみっぱなしの6年間だったわけですが、中学も高校も決してコンクールで良い成績をとるような名門校ではありませんでした。そのぶん、自主的なクラブ活動のなかで、とても充実した日々を過ごせたような気がしています。コンクールから早く解放される(なにしろ県大会がようやくでしたから)かわりに、タイムリーな曲を含め、あらゆる分野の曲を何曲も楽しみ、楽器を楽しみ、吹奏楽を心から楽しみました。それはもちろん、コンクールで良い成績を残せない悔しさはありましたが、それが今でも僕のエネルギーになっています。
 ですから、あのころ思いっきり楽しんだミュージックエイトのナンバーをプロとなって録音するという今回の企画にはワクワクしましたし、完成した今は嬉しさでいっぱいです。このCD「M8スタイル」を聴いた方に、音楽を楽しむということが少しでも伝われば、小学生の頃から抱き続けている僕の夢がまたひとつ実現するのですから……。

須川 展也 (東京佼成ウインドオーケストラ)

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