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No.45 香港のバンド事情

 子どもの頃にブラスのサウンドに惹かれ、15歳のときに学校でトロンボーンを習い始め、以来ずっと吹奏楽と関わってきました。今はバンド・ディレクターとして、吹奏楽(3校)、オーケストラ(1校)、マーチングバンド(1校)の指導にあたっています。
 私が暮らしている香港には約150のエレメンタリー・スクール・バンド(1〜6年生)、約100のセコンダリー・スクール・バンド(7〜12年生)、7の大学バンドがあります。最近では市民バンドも増えてきました。なかには50人以上の大編成バンドもありますが、35人くらいのバンドがほとんどです。日本と同様女子のメンバーが多く、フルート、トランペット、クラリネットが楽器人気ベスト3です。
 最近ようやく音楽の授業で楽器を教えるシステムもできてきましたが、香港では、学校自体のバンドに対する理解がまだまだ少なく、子どもたちにもあまり人気が高いとはいえないのが現状です。そもそも、練習時間の確保がとても難しい(週に1日、放課後の2時間程度)のに加え、練習嫌いな子どもも多く、チームワークという点でも不合格。練習中でも子どもたちはおしゃべりのほうに熱心で、以前日本の吹奏楽部を視察したときには、あまりの違いにびっくりしました。お国柄とはいえ、本当に困っています。勉強が忙しい子どもたちの立場にたてば、多少同情の余地はありますが……。
 こうした状況を打破するためにも、我々のようなバンド・ディレクターがバンドの魅力を伝えていかなければならないのですが、そのバンド・ディレクターが少ないというのも悩みです。音楽大学を出ていない先生方、資格のない先生方がバンドを教えていることが少なくありません。今後は、香港のバンドのために、学校の理解とシステムづくりがいちばん重要であると思っています。
 それでも、徐々にレベルは上がってきました。コンクールも開催され、子どもたちのバンド・ライフの中ではとても重要な位置を占めています。最近はデモCDの普及でいろいろな作品に出会えるようになりました。たとえばリードの「アルメニアンダンス・パート1、2」やホルストの「第一、第二組曲」、スウェアリンジェンやスパークの作品が人気です。しかしコンクールばかりを考えると、1年で1、2曲しかできなくなるので、「音楽を楽しむ」という観点から、いろいろ考えていかなければと思っています。ミュージックエイトのヒット曲シリーズもよく使います。なぜなら、日本のアニメは香港でとても人気があり、ドラえもんや宮崎駿映画の音楽は、子どもたちも大好き。ライト・クラシック、たとえばフックト・オンのシリーズも人気です。また、「やさしいシリーズ」としてアレンジされた楽譜は授業で使えるのでとても役にたっています。
 私自身が教えるにあたって、最も重要だと考えているのは「理解させる」ということ。問題を1つ1つ、子どもたちと一緒に解決していくことが大切です。また、バンドのトレーニングでは「バランス」が重要です。子どもたちは何も考えずにただ音を出そうとします。音には、静かな音もあれば、大きな音もあるのだということを知ってもらわなければなりません。また「曲のストーリー」も大事です。子どもたちにその曲の背景を伝えると、想像力が高まり、音楽がより彩りのあるものになり、よりメロディックになるからです。
 日本のバンドに追いつくためにはまだまだ長い道のりが必要ですが、これからも、地道に、子どもたちと一緒に歩んでいこうと思っています。 
(訳:坂本音八)
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