No.47 輝ける、その一瞬を大切に

 新任で現在勤務している中学校に赴任が決まったとき「吹奏楽部の顧問をお願いします」と頼まれて正直困ってしまった。幼少からピアノは習っていたものの、吹奏楽経験は皆無。しかも大学での専攻は音楽学。唯一できることといえば楽譜を読むことだけだった。
 そうはいっても、日は刻々と過ぎるし、クラブを楽しみにしている生徒が目の前にいる。
 最初は手探りで、生徒との関係も、もちろん演奏も、上手にできないところだらけだった。努力したつもりで取り組んだ演奏会でも拍手はまだら……。
 これではいけないと、改造計画に着手した。
 まずは部員の意識改革! 自分のパートは自分が責任と誇りをもって演奏すること。そのために、今まで以上にパート内の連携を重要視するように伝えた。次に精神面! 演奏会の客席には、吹奏楽に興味をもって聴いている人もいれば、そうではない人もいる。どんな状況にあっても、自分の力を発揮するための努力を惜しまないようにしよう。そして、まわりで演奏している他の部員に迷惑をかけない演奏をめざそう。
 部員全員が舞台にあがることができるのが吹奏楽部の強みなのだから、それを生かしていこう!
 最初はなかなか軌道に乗らなかったものの、少しずつ変化が見えてきた。演奏会では拍手が増えてきた。吹奏楽部以外の生徒が演奏を楽しみにするようになった。部員自身も家でクラブの話をするようになったようで、今まで以上に保護者も見にこられるようになった。
 ここまでくると、俄然私の責任も重くなってくる。生徒の思いを叶えるために、私自身が今まで以上に努力しなければいけない。
 現在も全く楽器は吹けない私だが、生徒に支えられて、吹奏楽の楽しさを感じ始めている。
 生徒にとっては、長い人生のなかでいちばんクラブ活動に専念でき、輝ける時期! その一瞬を大切にしてあげたい!! そして、生徒たちに、いろいろなことを感じてほしい。そんなことを胸に、今日も私は、放課後、いろいろな楽器の音色が響く音楽室に向かう。

大阪府大阪市立美津島中学校吹奏楽部
松本 佳代子

団員数:男子3名 女子35名   ※団員数は掲載当時のものです。
モットー:自分の音に責任をもつこと

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