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No.56 葬式でも吹いてくれるかな

 大学を卒業した春「吹奏楽の指導もお願いできますか」と講師採用の面接で校長から言われた。調子の良いボクは即座に「吹奏楽の指導は得意ですから…」。それに加えてその場で出された給食に入っていた天敵の「ピーマン」も某番組のように飲み込んで、おいしそうに食べた。その甲斐があり、その場で採用になった。本当は歌を勉強したくて、講師は生活費稼ぎ目的だったし、吹奏楽なんてわからなかった。
 その学校は荒れていたので、授業では「4階の音楽室からイスを投げさせないこと」が取りあえずの目標だった。放課後の吹奏楽部は、前任の顧問が病気で亡くなってやむを得ず美術の先生が指導していたということだった。「吹奏楽の指導が得意」という嘘を隠すために、指揮を勉強したり、曲も知らないのでレコードを手当たり次第に買ったりした。そこらあたりから吹奏楽にはまりだして、教員にもなった。
 昔は良い時代だった。1年の半分は学校に泊まる。風呂は部員の家を回って入れてもらい、夕食をご馳走になる。夏休みはOBに警備員のバイトをさせて、OBみんなで今日の反省をしながらの夕食。合宿では、1年生は4日間Bbのロングトーンのみ。ソロがある生徒は新幹線の改札前で1日中練習…。
 2校目はコンクールに出たことがない学校。ムチャクチャな音を良くするために1校目のOBに来てもらう。頂点をめざすことでなく、こういう学校の子どもたちが成長していく過程って楽しいと感じる。生徒も親も、本番ごとにサウンドが変わってくるのを実感してのめりこんでいく。このときから、学校を異動するときには吹奏楽が盛んでないところを希望するようになる。
 こんなことを繰り返しながら、5校目に赴任する。その頃10年以上も前のOBたちの飲み会に誘われた。「昔みたいに吹きたい」という声が出る。そうして現役の定演にOBのステージを設けることになった。
 過去の部員名簿から何百枚もの往復はがきを送る。宛先不明のはがきも多数あるが、「吹いてみたい」「裏方で協力する」「聴きにいく」の返事も多数あった。今も吹いている者もいれば、中学以来久しぶりの者もいる。名前はイニシャルからMウィンドアンサンブルと命名。練習は10月から翌年の4月の本番まで。選曲は年毎に5校のどこかでやった曲を入れる。本番の出来は?だが、中学時代に戻った時間とそのあと朝まで続く反省会! ボクもどの学校のOBか忘れてしまうことがよくある。同じオジサン同士なのに未だに敬語を使っている。もう5回目となっているが、5月のBBQ大会も恒例となってきた。今年は新しく潮干狩りのイベントも行われた。
 まだ早いけれどボクの葬式でも吹いてくれるかな。

東京都八王子市立川口中学校吹奏楽部
牧野 光良

団員数:男子8名 女子30名   ※団員数は掲載当時のものです。
モットー:ノリの川中から、サウンドの川中へ

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