No.58 金賞より価値のあるもの

 私はこの春大学を卒業したばかりの新米教師です。部活動も中学の頃からしていた大好きな吹奏楽部になり、はりきってやっています。しかし、指導者の立場になるのは初めてなので、勉強も足りないし、このやり方で本当に正しいのかどうか、とまどうことばかりです。
 7月のコンクール前日、ちょっとした事件が起きました。
 ふつう、コンクール前日といえば、何ともいえない緊張感が漂い、気持ちも締まってくるものですが(少なくとも自分はそうでした)、うちの部員は、楽器を壊しても平気な顔、顧問がいない間はペチャクチャとおしゃべり、練習をしていなかったばかりか、私が指揮台にあがってもまだおしゃべりをつづけていたのです! 
 これにはさすがに温厚(?)な私も頭にきて、怒って音楽室を出てきてしまいました。その練習態度を見て、自分の指導に生徒はついてきてくれないのだという気持ちが大きくなり、自分から音楽室に行く気にはなれませんでした。
 それでも、コンクール当日はみんな一生懸命演奏しました。今までで一番いい演奏とはいきませんでしたが、金賞をとることができて、生徒たちは泣いて喜んでいました。
 そんななか、部長と副部長が、泣きながら私のところへきて「今までがんばってきてよかった!」「先生、今まで指導してくださってありがとうございました!」と言ってくれたのです。
 その瞬間、やはり自分がこの4ヵ月間やってきたことは無駄ではなかったのだと思いました。
 そして、生徒が辛い練習を乗り越え「今までがんばってきてよかった」と思えた、そのことが、金賞をとったことよりも、本当にうれしかったのです。
 私の教員・吹奏楽指導者としての人生はまだ始まったばかりです。が、そのスタート地点としてこの子たちに出会い、こんな体験ができたことは、きっとこれからの私を支えてくれると思います。
 みんな、ありがとう!!

愛知県海部郡大治町立大治中学校吹奏楽部
鷲野 ひとみ

団員数:女子58名   ※団員数は掲載当時のものです。
モットー:人の心に響く音を!!

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