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No.91  生徒がいるから私がいる

 本校吹奏楽部には『記憶』というオリジナル合唱曲があります。11年前に誕生した曲でずっと歌い継がれてきているものです。
 本校に赴任してきたときは、12人の部員が私を迎え入れてくれました。コンクールでは新1年生も含め25人編成の部門に出場、地区予選を抜け北海道大会に出場しました。そして次の年には大編成に挑戦。翌々年には北海道大会に初出場し初金賞をいただきました。
 当時、地元の楽器屋さんや旭川商業高校の佐藤淳先生、何度も全国大会に出ておられる中学校指導者の南先生に部の運営に関する難しさを相談していたところ、ある講師を紹介していただきました。当時習志野高校で講師として指導されていたT先生です。厳しい中にも温かさがあり、部員一人ひとりに気を配り、顧問である私が申し訳ない気持ちになるほど親身になってくださいました。
 合宿のときには、北海道在住の教員の方を紹介してくださり、一緒に本校の指導をしてくださいました。夜中にもかかわらず自由に語り合っている生徒や食事後のんびりしている生徒など、T先生が自ら動いて指導してくださいました。それが私には衝撃であり、初めて死にたいと思うほど自分に自信がなくなりました。結局何を教えてくださったのかというと、「顧問がダメ」だからバンドが伸びないということでした。汗水たらして子どもたちに負けないで頑張る姿を身をもって教えてくださったのです。  そんな中、主力である3年生が何人か辞めたいと申し出てきました。彼女らがいなくなるとコンクール曲は成り立ちません。正直焦りました。そしてある朝、3年生と私でミーティングをしました。いや、ミーティングというより、それは彼女たちが私への思いをぶつける会でした。「私たちは先生がいるからこの部に憧れて入部してきた」「今の先生は私たちを見ていない」「講師の先生が顧問ではない」「部活動を通して大切なことは先生が教えてきたのではなかったのか」等、泣きながら私に訴えかけてくれたのです。そのとき目が覚めました。子どもたちのために私がいるんだ。もっともっと子どもたちのために精神誠意頑張らなくてはならない……。
 結論は生徒が教えてくれたのです。そして、T先生が、こうなるように上手に導いてくださっていたのだと思います。
 その3年が引退を迎える定期演奏会。リハーサル終了後に1、2年生から『記憶』が発表されました。2年生が中心となって作詞作曲をしたものでした。もちろん3年生へ贈る言葉としての曲です。
「今なら素直になれる 言えなかった言葉 伝えられなかった気持ち きっとあなたに届く……」
定演準備期間の忙しい最中に、早朝や3年生がミーティングでいないときを狙って内緒で練習をしていたそうです。決して上手とはいえない出来ではあったものの、当時の辛かった思いや助けあった思い、私と部員とみんながひとつになったという思いが伝わり、居合わせた親やOB、OG、会館のスタッフまで、温かい気持ちになった一瞬でした。コンサートは言うまでもなく大成功。まさに記憶に残る1日となったのです。
 今では部員数も定着しつつあり、もうひとつのオリジナル合唱曲『心から心へ』を加えた2つの合唱曲を心のよりどころとし、日常を大切にしながら活動しています。子どもたちの持っている力はすごいと思います。毎年先輩を超える努力をし、さまざまな結果(コンクールに限らず)を残す子どもたちは尊敬に値しますし、この子たちがいるから自分がいるんだと、毎日毎日思っています。

北海道旭川凌雲高校吹奏楽部
吉川 和孝

部員数:男子19名 女子67名   ※部員数は掲載当時のものです。
モットー:伝えよう 心から心

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